受信センサー間の距離差が200mm以上となるよう、受信センサーが設置できるコンクリートに対して適用されます。なお、伝搬時間差法によるコンクリート内部の欠陥探査では、受信センサー間での弾性波の伝搬時間差を測定し、相対評価により内部欠陥の有無、位置を測定します。正確な弾性波速度を測定する試験ではないことから、受信センサー間の距離差が200mm以上であれば適用可能となります。
詳細については、「iTECS 法規格:測定 02弾性波の伝搬時間差の測定方法および伝搬時間差による弾性波速度の測定方法」を参考ください。
以下①~③の条件を全て満たすコンクリートが条件となります。
ただし、本法では各測定点での周波数測定結果を比較して、内部の変状範囲を判断するが、①~③の条件を全て満たさない場合であっても、健全部と欠陥部での周波数解析結果は大きく異なることとなります。これから、同一条件の複数点での測定結果を比較することにより、試験が可能となる場合もあります。
- 厚さが 100mm 以上 2500mm 以下
- 背面が地盤等と完全に密着していない状態
- 測定面と対向反射面が平行とみなし得る形状であり、幅、長さが厚さの 0.5 倍程度以下、または、6倍程度以上
詳細については、「iTECS 法規格:測定 01 多重反射による 1 次共振周波数の測定方法」を参考してください。
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弾性波の伝搬時間差の測定
「iTECS 法規格:測定 02 弾性波の伝搬時間差の測定方法および伝搬時間差による弾性波速度の測定方法 3.伝搬時間差の測定方法」により、受信センサー1 と受信センサー2 での弾性波の伝搬時間差を測定します。 - 内部欠陥の有無の判定
測定した伝搬時間差が異常値の場合には内部欠陥が存在すると判断します。 - 内部欠陥の範囲の判定
内部欠陥の範囲は、内部欠陥が存在すると判断された測定点の周囲に測定点を複数点設定し、異常値が測定される範囲から判断します。
内部欠陥は、初期の欠陥として、コンクリート打設中の締固め不足によるジャンカ・空洞、打重ね時間の遅延などによるコールドジョイント、硬化過程で生じる温度ひび割れや乾燥収縮ひび割れ、プレストレスコンクリートのシース管グラウト充填不良などがあります。
供用中の欠陥としては、荷重の作用によるひび割れ、凍害や火災による脆弱化、鉄筋腐食やそれに伴う浮き・剥離、水平ひび割れやコンクリートの土砂化などがあります。
iTECS法ではこれら内部欠陥の探査方法として、規格を定め、様々なコンクリート構造物の調査を行っています。