コンクリートの非破壊試験について コンクリートの非破壊試験は、試験対象の構造物を壊さずに、その性能や性質、劣化・損傷の有無、あるいはその程度を把握しようとする試験方法です。今後、コンクリートの非破壊試験法を適切に利用することは、社会基盤施設の維持管理の場面で不可欠になります。 国土交通省では、新設する一定以上の規模の構造物に対して、2006年度から配筋探査(非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶりの測定)、2007年度から圧縮強度の測定(微破壊・非破壊試験手法による圧縮強度測定)を行って、品質の確保を行っています。また昨今では、都道府県で行われる工事においても同様の非破壊試験による品質管理手法が取り入れられています。 コンクリートの非破壊試験法の分類 コンクリートの非破壊試験は,知り得たい情報(圧縮強度等コンクリートの性質)や試験対象の部材形状によって適用する試験の原理が異なります。主なコンクリートの非破壊試験手法を下表にまとめていますが,試験にあたって,試験方法の原理や試験機器の取り扱い方法,適用範囲,試験結果に影響を与える因子等を十分理解していないと,誤った評価を行ってしまう要因となります。 調査方法 得られる情報の例 試験結果に与える主な影響因子 反発度に基づく方法 反発度法 ・コンクリート強度の推定 ・測定表面の凹凸・コンクリートの乾湿状態,材齢,部材厚さなど 電磁誘導を利用する方法 鋼材の導電性および磁性を利用する方法(電磁誘導法) ・コンクリート中の鋼材の位置,径,かぶり ・鉄筋の磁気特性,配筋状態など・プローブの周波数特性など コンクリートの誘電性を利用する方法 ・コンクリートの含水状態 ・センサや電極の特性など・測定時の温度 弾性波を利用する方法 打音法 ・コンクリートの品質・コンクリート中の浮き,剥離 ・打撃力の大きさ・集音装置の性能・測定時の騒音 超音波法 ・コンクリートの圧縮強度,弾性係数などの品質・コンクリートのひび割れ深さ・コンクリート中の浮き,剥離 ・発振パルス大きさと形状・受振装置の性能,受振波の立上り・伝搬経路,コンクリートの乾湿 衝撃弾性波法 ・機械的入力 ・電磁的入力 ・コンクリート中の欠陥・コンクリート厚さなどの部材寸法・PCグラウトの充塡状況・アンカーボルト固着部の接着剤充填状況 ・打撃方法・コンクリートの大きさ アコースティック・エミッション(AE)法 ・コンクリートのひび割れ ・ノイズの大きさ・センサの感度,共振周波数・着目するAEパラメータと解析法 電磁波を利用する方法 X線法 ・コンクリート中の鋼材の位置,径,かぶり・PCグラウトの充塡状況 ・線源の種類の強さ・検出器の種類 赤外線法(サーモグラフィ法) ・コンクリート中の浮き,剥離,空隙・コンクリートのひび割れの分布状況 ・周辺環境からの反射赤外線など 電磁波レーダ法 ・コンクリート中の鋼材の位置,径,かぶり・コンクリート中の浮き,剥離,空隙 ・コンクリートの比誘電率・配筋状態など 電気化学的方法 自然電位法 ・コンクリート中の鋼材の腐食傾向 ・コンクリートの含水量,環境温度など・照合電極の種類 分極抵抗法 ・コンクリート中の鋼材の腐食速度 ・コンクリートの含水量など・電流の形状,周波数など 四電極法 ・コンクリートの電気抵抗 ・コンクリートの大きさ・骨材寸法,骨材の有無など・交流電圧の大きさ,周波数など ファイバスコープを用いる方法 ・コンクリート内部の状況・PCグラウトの充塡状況 - 反発度法(リバウンドハンマー) 電磁誘導法 衝撃弾性波法(ひび割れ深さ) 衝撃弾性波法(断面厚さ・内部欠陥) 電磁波レーダ法 X線法 赤外線サーモグラフィ法 赤外線画像 弾性波を利用したコンクリートの非破壊試験 iTECS法を含む衝撃弾性波法は,コンクリートの非破壊試験法のうち,弾性波による試験方法に分類され,一般社団法人日本非破壊検査協会規格NDISでは,超音波法(NDIS2426-1:2009),打音法(NDIS2426-3:2009),に並んで規定される試験方法です。衝撃弾性波法は,物理的な衝撃で発生させた弾性波を,コンクリート表面または内部の振動として,振動センサによって受信する非破壊試験です(下図(b)参照)。物理的な衝撃を与える方法には,ハンマーや鋼球などによる機械的な入力方法と,励磁コイルで発生させた磁場によって,内部の鋼材(鉄筋等を)を加振する電磁的な入力方法があります。 弾性波発生要因について iTECS技術協会の各種申込書類・問い合わせフォームについて
コンクリートの非破壊試験は、試験対象の構造物を壊さずに、その性能や性質、劣化・損傷の有無、あるいはその程度を把握しようとする試験方法です。今後、コンクリートの非破壊試験法を適切に利用することは、社会基盤施設の維持管理の場面で不可欠になります。
国土交通省では、新設する一定以上の規模の構造物に対して、2006年度から配筋探査(非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶりの測定)、2007年度から圧縮強度の測定(微破壊・非破壊試験手法による圧縮強度測定)を行って、品質の確保を行っています。また昨今では、都道府県で行われる工事においても同様の非破壊試験による品質管理手法が取り入れられています。